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最近の違和感と学び続ける姿勢

N. Hiro
9月19日
読了時間: 4分

応用物理学会がおわって,ふっと気が抜けてしまった.


いろいろ気づきと学び,そして油断大敵であるが,ここでその違和感を書くのは野暮なので,酒の肴にしかならない話ではある.


応物に行く前に院生の一人が,研究室で新NISAのムック本を買って置いていた.


私「うん?投資に興味でも?」

院生「いや,まだやってないですけど,社会人になったらすぐ始めようかと」

私「NISA貧乏って知ってる?」

院生「そんな,生活苦しいほどはやりませんよ」

私「数学的には,複利計算だからはやくNISA枠を埋めた方がいいって」

院生「それは思います.でも毎月10万とかボーナス突っ込むとかは実家じゃないと厳しいっす」

私「うーん.まぁ,人付き合い削ってまでやることとは思わんぞ(昭和おじさん)」

院生「でも,やらないと損ですよ」

私「バフェットか誰かは忘れたけど,『主婦や学生まで株式投資をはじめると市場崩壊は近い』といってたぞ.自己投資する方がええんちゃうか?」

院生「先生のおっしゃることはわかります.でも,自分は自分より市場の伸びに書けます(補注:意訳してます)」


この問答をして,北海道に旅立ったが,投資というのは何も株式や仮想通貨ではないと思うわけで.この20年で私がもっとも得た得難い資産は,有機デバイス院生研究会というでっかいネットワークである.とくに,同世代の研究者とは,苦しいときも病めるときも,職を失いそうな時も,いつも,彼らがいるので頑張れたという側面はあるし,大小問わず,助けてもらっていた.特に精神的な支えになっていると言って過言ではない.40を過ぎれば,悩みは複雑で,本当の答えは明瞭であっても,誰にも相談できない状況もありうる.


とりわけ,ライバルかもしれない同僚には弱音は吐けないもので,それでも,気兼ねなく弱音を吐いてもいいのかもしれない仲間は貴重である.場合によっては適切なアドバイス,時にはただの聞き役なのかもしれないが,話して見て整理できることもある.また,皆,研究者だから当たり前と思うけど,向上心を忘れていない.自分もまだまだ,と思う.


さて,数字の話をまじめに考えると,30年後の1億円はすごいかもしれない.100年たったら,というのもあり得る.一方で,数字に惑わされてはいけないのは,モノの値段も上がるという点である.


数年前になるが,母方の祖父(故人)の土地を整理する話になったとき,厄介な問題があった.遺産相続で名義変更登記をしていないので,祖父の曽祖父の名義のままであった.厄介なのは,その土地を月賦で買ったために抵当権がついていて,当然,抵当権者もなくなっている.という末恐ろしい,土地であった.抵当権は明治のお金ではあるが,土地代相当の抵当金額(現在の価値で数千万円)であった.


この抵当権を外して,母の名義で登記するために,さまざまな手続きを行って,最終的には,抵当権に年率いくらという利息を掛けた金額を家裁に供託し,公告してもらい,申し立てて半年か1年か(詳細は忘れた)で権利者が現れなければ,晴れて母の名義になるという手順を踏んだ.明治時代とは言え,抵当金額に利息をかけてかけて,さぞや,高額の供託金がいるのかと思いきや,100年で数万円であった.


複利の効果はおそろしく,ミナミの帝王,なにわ金融道も真っ青の元本の1万倍以上になっていたのである.村全体を買えるくらいの借金ではないかと(当時の貨幣価値ならば,だが).


が,しかし,いまや,この金額では立派な表札くらいしか買えない.門扉も直せない.もちろん,年にかかる利息はそれなりに小さいが,物価上昇を考慮した,馬鹿にもできない程度の比率ではあった.


株式投資やアメリカ経済を信じて投資するのは,数値上間違いではないのだろうけど,人類の成長で平滑化されるので,わたしは自己投資(学びや人的資源としての価値)を授業では勧めている.なにより,人より少し自己投資して成長すれば,人類で平滑化された成長よりすこしだけ利回りはいいように思うからだ.人の成長は非線形なので,貴重な20代をいろいろ我慢して,株なんかに投資せずに,勉強やいろいろな経験にお金を使えばいいのではないかなと思っている.ようは学生のうちに参加する学会なんて最高の自己投資やで.と言いたいのである.

 
 
 

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