環境発電入門
エナジーハーべスティングってなに?
このページは、廣芝がオープンキャンパスや,公開講座などで実施する「環境発電入門!エナジーハーべスティングってなに?」の詳細について限られた時間では伝えきれない内容を補足するためにつくられています。
固体物理と電子物性
電子物性ってなんか難しそう、、、
固体物理とか電子物性ってなんか難しそうだと思いませんか?じつは、あなたの使っているスマートフォンやパソコンが動いているのは電子の働きのおかげなんです。物性とはものの性質のこと。電子物性とは、物の中で、電子がどんな風にふるまうかで,固体物理はこれらのふるまいを理解しようとする学問です。
「環境発電」には、太陽電池での光電効果とか熱電発電における熱電効果とか,振動発電における圧電効果とかをちゃんと理解し利用するには、固体物理の知識が重要です。固体物理をちゃんと理解して、電子物性を制御し,すごい物質を応用して高効率なデバイスを発明できればノーベル賞も夢じゃない!?かも?
熱電効果
ペルチェ効果、ゼーベック効果、トムソン効果
ペルチェ効果とは、物体の電圧差を加え温度差を作り出す現象のことをいい、逆に物体の温度差が電圧に変換される現象をゼーベック効果といいます。
また、温度差に保った物体に電流を流すと、ジュール熱(物体中を流れる電流によって生じる熱)のほかに熱の吸収または発生を生じる現象をトムソン効果といいます。
これらの3つの現象は熱電効果と呼ばれる物理現象です。それぞれ現象の名称は、発見者の名前にちなみつけられています。
環境発電では、ゼーベック効果を用いたデバイスが熱電発電が用いられます。なお、ゼーベック効果(温度差→電圧に変換)とペルチェ効果(電圧→温度差に変換)は逆の現象であるので、市販のペルチェ素子に温度差をあたえるとゼーベック効果で温度差から発電できるというしくみです。
ペルチェ素子は自動車に車載できる小型温冷蔵庫などで用いられているので比較的簡単に安価な市販品が手にはいります。
圧電効果
ピエゾ効果
ピエゾ効果とは物体に圧力を加えると、圧力に比例した分極(≒電圧)が現れる現象のことで、ピエゾ効果をもつ物体を圧電体という。ライターやコンロの着火装置、スピーカなどに使われているので、圧電体も比較的簡単に手に入ります。セラミックスの圧電体もあれば身近なプラスチックでも圧電性を持っている物質もあります.とくに振動発電に圧電素子を用いることも多いので,圧電現象を理解すれば,振動発電を効率的に行ったり,センサに応用して新しいデバイスを開発したりできます。
電気回路
小さなエネルギーを無駄にしないために
ブロッキング発振回路(通称:ジュールシーフ回路)の動画をアップロードしました。
環境発電では、得られる電圧や電流が小さかったり、安定しなかったりします。わずかに得られるエネルギーを利用するためには昇圧回路や、平滑化回路なども重要です。乾電池は一個で1.5Vの電圧です。青色LEDを光らすには3V以上の電圧が必要です。青色LEDが光る秘密がわかりますか?ネットで「ジュールシーフ回路」と検索すればいろいろな情報が載っています。
電子と回路と情報と
パワーマネジメント
太陽電池や熱電などの環境エネルギーを利用した発電は、素子の電圧が小さかったり、間欠的な発電だったりするので、素子性能以外の技術も重要です。
その場の環境条件でできた電気エネルギーを最適にマネジメントすることも重要です。そのためには、電気電子デバイスの知識、電気回路や電子回路の知識、情報処理,AI,システム工学などまんべんなく学ぶ必要があります。
大阪工業大学 電子情報システム工学科にはこれらの分野に関する先生方が在籍していますので、電子系,情報系,通信系とシステム分野,広く偏りなく学ぶことができます。